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2006年5月10日
趣味人の家 File10 10坪の挑戦 ジキル&ハイドな家
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10坪に挑戦 ジキル&ハイドな家
圧倒的な開放感 室内で自然を感じて
2F・3F部分の南側は、ほとんどがガラス張り。さらに天井に設けられたトップライトからは、自然光がたっぷりと降りそそぎます。こんな風に階段に腰掛けて、雲の流れや星空を眺めることもあるのだとか。
サッシを使わないことでコストダウン
外観
サッシを使わずコンクリートに直接ガラスをはめ込むことにより、コストダウンを実現。このため窓はハメ殺しになりますが、他方にきちんと開閉式の窓を開けているので、通風しは万全です。Fさんいわく「夏も快適に過ごせました」。
どこが入り口!?セキュリティーは万全に
F邸には正反対の2つの顔があります。閉鎖的な外観(=写真左)と、光あふれる開放的な室内(=上)と。建築面積10坪、ビルトインガレージ、ホームシアター、セキュリティ、ユニットバス不可、広々と開放的なバスルーム、使い勝手のいいキッチン、収納スペースの確保、そして、コストダウン。オーナーのこんな要望に対して、建築家の出した答えが、ここにあるのです。
2Fは光のオアシス青空もホームシアターも、ほしいまま
 コンクリートの階段を上がると、そこはいきなり、光のサロン。リビングとキッチンからなる2Fは、外部からは想像だにしなかった、圧倒的な開放感。ただただ驚く記者を尻目に、設計を手がけた青木さんは、してやったりとニヤリ。
「人間はいったん狭い所に閉じ込められた後に解放されると、空間を何倍もの広さに感じるんですよ」
 オーナーのFさん夫妻は、青木さんとは旧知の仲。以前から「家を建てるなら青木先生に」と決めていたのだそう。とはいえ、10坪という狭さをどう克服するか、さらに、趣味のホームシアターが楽しめる空間づくり、ビルトインガレージと独立型の広いバスルームの確保といった要望の数々。問題山積でした。

 それらの問題を全てクリアした上に、当初の見積もり2,800万円から1,960万円への大幅なコストダウンを実現したF 邸は、デザイン的にもまた、際立った存在感を放っています。コンクリート打放しの壁にフローリングの床、無機質な階段、巨大なガラスの窓とトップライト。無駄をそぎ落としたミニマムな空間に観葉植物のグリーンや絵画が映えて、住み手のセンスが伝わってくるようです。ここで革張りのソファに寝そべりながら趣味のホームシアターにハマるのが、ご主人の至福のひととき。中国茶に凝っているという奥様の入れる、香り高いお茶を飲みながら。
建物南側の採光部  
建物南側の採光部。外側の磨りガラスで、光を遮らない目隠しを。内側にはちゃんと洗濯物を干すスペースも作られています。
リビングとキッチンとの間のスクリーンを下ろせば、即、ホームシアターに早変わり。防音性にも優れているため、好きな映画や音楽が大音量で楽しめるのも魅力。
キッチン
スクリーンの反対側はキッチン。冷蔵庫、乾燥機付き洗濯機なども全てここに納められ、家事の効率もアップ。コレクションしているマグカップの高さに合わせて引き出しを作るなど、オーダーならではの心配りが随所に。
玄関
配電盤、スイッチ
配電盤、スイッチなどをキッチン側の壁に集中させて管理。
照明
実はコレ、いわゆる裸電球ですが、天井に埋め込むようにつけることで、しゃれた雰囲気に。調光もできます。
1Fガレージ横にある玄関。左手には海外旅行で集めたオブジェが飾られ、エキゾチックな雰囲気。奥にはウォークインクローゼットが。
星空にいちばん近い場所にはベッドルームとバスルーム
バスルーム
バスルーム、洗面所、トイレは一直線上に配置。それぞれガラスの扉で開閉できるようになっており、独立しながらも圧迫感がありません。
ベッドルーム
ベッドルームの壁面には作り付けの棚を設置。ここと2Fの壁面の棚に、かなりの量の本やCDが納まっています。棚の高さは、一番背の高い本に合わせて決められているのでスッキリ。
 さらに上へ。打放しの壁にオブジェのように突き刺さるチェッカープレート(※注:縞鋼板。通常、溝やピットの蓋、工場の床などに用いられる)の階段からアプローチする3Fには、非日常的な空間が広がっていました。ベッドルームからガラス張りのバスルームへと続く、リゾートホテルのような造りにはため息が出るばかり。天井の高さが空間をさらに広く感じさせ、気持ちのいいこと、この上なし。
「風呂につかりながら読書をするのが習慣なんです。居心地がいいので、つい2時間くらい入ってしまいますよ」というご主人の言葉にも納得です。

 オーディオ、カメラ、クルマと多趣味なご主人と、おいしいお茶や素敵なフラワーアレンジで迎えてくださった奥様の共通の趣味は旅行。世界遺産を巡るのがテーマで、これまでにも、エジプト、カンボジア、スペイン、イタリアなどを訪れたのだとか。

「ボルネオの温泉より、うちの風呂の方がずっとよかったよねぇ(笑)」というご夫婦の言葉にも、深くうなずけたのでした。
バスルームのノブ  
機能性とデザイン性に優れたバスルームのノブ。スイッチのある壁面の裏側は、タオルなどをしまえる収納スペースになっています。
 
House Data
構造:RC造
敷地面積:17坪
※建築面積:10坪
延べ床面積:27坪
本体工事費:1,960万円
総工費:2,350万円(設計料他すべて含む)
土地代:1,100万円

仕上げ DATA 屋根:コンクリート打放しの上、ゴムシート防水(外断熱工法)
外壁:コンクリート打放しの上、はっ水剤
床材:モルタル金コテ押工(1F)
   フローリング・床暖房仕様(2F)
   フローリング(3F)
   コンクリート洗い出し(アプローチ部)
内壁:コンクリート打放し

設計
株式会社青木茂建築工房
施工
西部建設株式会社

資金DATA
月々の返済額:8万円
ボーナス時の返済額:35万円
借入先:勤務先(17年返済)
1,000万円台の家の住み心地
Fさんご夫妻のコメント
Fさんご夫妻
建築家にゆだねることで
減額と満足ができました
 「建築家=高い」と思いがち。しかし、実際にはその逆でしたね。青木先生とは前々からおつきあいがあり、ご自宅にも伺っていたので、安心してお任せできました。これがまた素敵なお宅なんですよ。そんなわけで、土地探しからお世話になりました。家づくりで肝心なのは、なぜ家を建てるかということ。うちの場合は「ホームシアターを楽しみたい」「セキュリティはしっかり」「バスルームをゆったりと」の3つ。それから要望には優先順位をつけて、場合によっては切り捨てる勇気も必要です。例をあげると、私はバスタブの上にもトップライトをつけたかったのですが、青木先生に却下されたので、キッパリ諦めました(笑)。ネジ一本の値段までわかるほど、明朗会計。機能は落とさず、コストを落とす。その結果、最初の見積もりより随分安い価格で家を建てることができたんですから、本当に満足しています。
Fさんの家を建てた
建築家、青木茂さんのコメント
建築家、青木茂さん
無理難題が多いほど
燃えるタチでね
 日本の住宅は欧米と比べると、値段は倍近くかかり、3分の1ほどの年数しかもたない。つまり、6倍高くつくということ。家が安くなれば、みんながもっと余裕のある暮らしを楽しめるんじゃないか。何より、自分で家を建ててみて、あまりのローンの高さに腹が立ってきた! そこで私は今、1,000万円住宅に挑戦するプロジェクトを進めています。さらに、ゆくゆくは、家族が協力してつくりあげる家を提案したいとも考えています。Fさんの家は、コストダウンの問題の他に、変形狭小地ということもあり、条件はさらに厳しいものでした。しかし、難しい仕事ほど燃える性分なので、お引き受けしましたよ。コストダウンのためには頭を使ってアイデアをひねり出します。その結果、さらにいいものが生まれる。私はそう考えます。Fさんご夫妻はセンスよく住みこなしてくださり、私もうれしいですね。
LAYOUT
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